井蛙堂備忘録

医学的備忘録としてのブログ

カウンターショック(除細動とかカルディオバージョンとか)

カウンターショック

・致死性不整脈や頻拍性不整脈に対し、洞調律に戻す目的で直流通電する方法。

・致死性不整脈心室細動(VF)、無脈性心室頻拍(pulseless VT)など

・頻拍性不整脈:心房細動(Af)、心房粗動(AFL)、発作性上室性頻拍(PSVT)、VTなど

・カウンターショックには「除細動」と「カルディオバージョン」の2つがある。

 

除細動の手段による分類

・電気的除細動:カウンターショックのこと。(特に非同期式電気的除細動)

・薬物的除細動:Ia群、Ic群、III群抗不整脈薬などによるリズムコントロール。

 ※電気的除細動のことは「DC (Direct Current; 直流)」と呼ばれることが多い。

 

心拍との同期の有無での分類

・非同期式が「(電気的)除細動 defibrillation」、同期式が「カルディオバージョン」

・「除細動」:同期しない。高エネルギーの通電(単相性で360J)を行う。

       →一気に心筋を停止させ、不応期を生むことでリエントリーを防ぐ。

       →致死性不整脈(脈がない不整脈)に非同期式の除細動を用いる。

       →VF、VTに用いる(そもそも同期できないような波形である…)。

・「カルディオバージョン」:R波に同期して、R on Tを防ぐ。120-200Jで行う。

              →意識がある人が多いので、麻酔を使う必要がある。

              →AfなどのVF,VT以外の不整脈に用いる。 

 ※心静止、無脈性電気活動(PEA)は「除細動」の適応外である。

   →除細動効果が少なく、むしろ迷走神経を刺激して蘇生率を下げるため。

 ※T波は脱分極しやすく、R波が重なるとVFを起こすため、同期する必要がある。

 

単相性と二相性(除細動器の設定)

・単相性は直流電流によるもの、二相性は交流電流によるもの。

・昔は単相性だったが、二相性の方が低エネルギーで良い→心筋障害を抑えられる。

・単相性で360Jの通電でも、二相性だと120-200Jで良い。

AEDにも単相性と二相性のものと2種類ある。